アストンマーティンへの軌跡 その5  ケンブリッジ留学

「おい、ホームステイいってこい!イギリスかアメリカに短期留学してこいや、金出したるから!」

アストンマーティンからイギリスの文化に興味深々だった私をみて、親父がそう提案してくれました。

なんといい親父なのでしょうか。

「それやったら、是非、イギリスに行かして!」

即決。

ケンブリッジ大学街にある

Ridley Hall Theological College

で3週間の語学留学に行けることになりました。
時は、1979年、19歳の夏。

イギリス人の老夫婦の家でホームステイをさせてもらいながら、平日は語学学校で英語の勉強をして、土日はロンドンで観光。

この時は1ドル200円程度でしたが、1ポンドは500円と高額。

まだまだ円が弱い時代で、優雅には過ごせませんでしたが......最高でした。

ロンドンでは、ロールスロイスが群れをなしていましたし、街のアストン専門の中古車センターでは、アストンの群れ......日本では絶対見られない光景。

夢の世界。

一緒に行っていた日本人の団体がたまに遭遇する日産スカイラインやトヨタ・セリカに狂喜している中で、私ひとりがロールスロイスやベントリィ、ブリストル、アストンマーティンに心の中で熱狂し夢中で撮影。

一人、浮いていましたが、まあ、仕方がありません。

1979年当時の日本人の常識は......。

"外車はヤ○ザが乗る車、3ナンバーはヤク○の車、賢い日本人は国産車に乗るもの"

でしたので、イギリス車に熱狂する私は、異端者扱い。

私は、カーマニアばかりでなく映画マニアだったので、

1979年封切りされた「ムーンレイカー」(日本では1980年の正月映画)を、

"半年先にイギリスで字幕なしで観る"のも目的でしたし、

また、戦記マニアだったので、"大英帝国戦争博物館に行く"のも目的でしたし、

さらに、日本では手に入らない"アストンマーティン関連の書籍を買う"のも目的でした。

しかし、一緒に行った日本人からしますと、すべて無価値。


「そんなのもったいないから他のことしようぜ!」


となってしまうので、とある日曜日に一人でロンドンに出かけていって......

Imperial War Museum

に行って、ヤクトパンサーやスピットファイア、V2ミサイルの現物を堪能し、次に

Motor Books

でアストンマーティンの書籍を数冊購入。

そして、

odeon marvels 劇場

で「007ムーンレイカー」を鑑賞しました。

ロンドンの劇場でイギリス人の中で、日本人は多分私ひとり。

観客の反応は独特、受けるところが日本とは違います。

この雰囲気もグー、映画マニアとしては最高の経験でした。



次の日、英語学校で日本人仲間から聞かれました。


「昨日、どこいったの?」

「ロンドン行ってました」

「悪かったな、一人で行かして......何しとったん?」

「戦争博物館いって、アストンマーティンの本を買って、ムーンレイカーを観たんですけど......」

「お前、アホやな~、そんなん日本でも観れるやないか~、なんでそんな無駄なことばっかりするんや!」

......

やっぱり、一人で行ってよかったです。


ホームステイ先のホストファミリーは、70代の老夫婦でした。

車は、意外なことに、トヨタ・カローラ。

この当時のブリティッシュレイランドの状況からすれば、イギリス人であっても日本車を選ぶのは当然の選択だったかも?

『私、イギリス車が大好きなんですよ』

といった話をしますと、

『どんな車が好きなんだい?』

と嬉しそうに聞かれました。

ナショナリズムですね。

喜ばせてあけようと、知っている限りのイギリス車の名前を言おうと試みました。

『エーシー、アストンマーチン』

『フンフン......』

『ジャギュア』

『そうだ、ジャギュアだ、良い発音だね』

『ブリストル......』

『フンフン......』


『ベントレイ......』


『なぜロールスロイスじゃないんだい、ベントリィよりロールスロイスだろ?』

ベントレーに反応。

この当時のベントレイは、ロールスロイス傘下。

T2やコーニッシュといった、

"ロールスロイスのバッジ付け替えモデル"

でブランドだけ守っていた状況でしたので、

ベントレー買うならロールスロイス買えよ

なノリだったのでしょう。


『そういった車は、高級車で、我々一般人は買わないよ』

で、話は終わりました。

身分社会なので、

高級車を買うのは貴族のみで、平民は金があっても買わない

なノリ?

モーリスやトライアンフあたりから言えばよかったかも?


ヨーロッパ人は車の話が好きなようで、ケンブリッジのバス停でAutoCar誌を立ち読みしながらバスを待っていると、

「君は日本人かい?僕はドイツ人なんだけど、車の雑誌を読んでいるなら、車の話をしないかい?」

「いいよ、ドイツ人なの?」

「僕は日本車はあまり好きじゃないな......クラフトマンシップに欠けるから......」

やっぱり車ネタは、ナショナリズムを刺激するようです。

(日本人ならば反論するのでは?)

そう期待して話しかけてきたのでしょうか?

しかし私は国産車より外車党。

「僕もそう思うよ。その点、ドイツ車は素晴らしいね、ポルシェにメルセデス、BMWにビッター、良い車ばかりだね」

「(ちょっと拍子抜け)......そうだ、ドイツ車は素晴らしいよ」

ダブルデッカーの2階席でそんな話をしていました。

ヨーロッパでは車ネタは、話のとっかかりにはいいようです。


日本ではめったに見られないヨーロッパ車を、腹いっぱい堪能できたイギリス留学でした。


ちなみにこの当時に撮影した写真やアストンマーティンの専門書は、1995年の阪神淡路大震災で実家ごと埋まってしまいました。

残念。

まあ、ウチの家族はだれも死ななかったので、その点は幸運でしたが。

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